恋の施し


「私がね、本当は郁に腐れ外道のこと、話しちゃったの。
どうしても我慢できなくて…郁、どうしたらいい?って」




「うん」




じゃあ郁もあの事は知ってたんだ…


やっぱり遊園地で聞いたあの呟きも聞き間違えじゃなかったのかもしれない…




『分からねーこともあるよ。…あの時だって気づいてやれたら…』





でも、郁がどういう想いであの言葉を呟いたのかは、今でも分からないままだ。





「そしたら郁、ぶち切れちゃってその日の夜にアイツの家まで乗り込んで、殴り倒したんだって。後から本人に聞いたの」




え?


郁が!?




「それで糞野郎の両親が2人がかりでとめに入って郁はやっと落ち着いたらしいの」




そんな事、全然知らなかった…
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