恋の施し


「郁は、響花が絶対気に病んで心配することが分かってたからずっと秘密にしてたの」




じゃあ、郁は…




「響花は郁にとても大切に思われてるよ。
……昔も今も。だから、きちんと考えて結論出して。
相田の告白の時、どうして郁の顔が浮かんだのかきちんと考えてみて」




―――…分かってる。

分かってるけど認めたくないんだ。だって、今の関係を壊したくないから…


向こうは私のことを家族みたいな人として見ているから…




「雪音…私、分かってる。知らないふりしてたけど…郁にキスされた時からおかしいって気づいてた…」




キスされた時。
私は郁が私にキスした事を怒ったんじゃない。


キスに気持ちが無かった事に悲しんでたんだ。


でもそんな気持ちには気付きたくなくて…気付いたらあんな事を言っていた。



考えてみたら私は、郁に相談する事が楽しくなっていた。


ボディタッチも、デートも、全部嫌じゃなかった。






だから私は郁のことを―――…
< 99 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop