ボーダーライン




ハッとした顔で先生は言った。



「卒業おめでとうございます!」



「ありがとうございま〜す!」


改まって敬語を使ってみる。



なんだかおかしくって、2人で顔を合わせて笑った。


だって、初めて話した時以来、先生に敬語を使ったことなんてなかったから。




「なあ、空…キレイだよな。」



「うん…」



先生も、同じこと思ってたんだ。




空がこんなにキレイだと感動したのは初めてだった。



だから、忘れたくないな。


この空の色…。



気持ちよさそうに浮かんでいる雲も…全部。



先生との思い出と一緒に、大切に閉まっておきたい。





「咲良と先生、写真撮ってあげるよ!!」



紀ちゃんありがと!



「え?体育館の前で?普通門の前とかじゃねえ?」



先生が微妙な顔をする。



それもそうだけど…







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