ボーダーライン
「場所なんてどこでもいいじゃん!写真撮ろうよ!」
うん、誰にも邪魔されないのなら、何処でも構わない。
「まあ…いっか!」
私は先生の隣に立った。
ドキドキ…
ドキドキ…
「先生も咲良も、ちゃんと笑ってよ〜!」
今、こうして先生と写真に写ることが出来る。
2年生にだって、出来ない事。
卒業した今だから、卒業写真が撮れるんだよね。
卒業生の、特権。
何かを形に残したくて写真を撮ることは、全てが終わりだと言われている気がする。
でも、卒業しても終わりじゃないよね。
また、先生と会えるよね。
終わりじゃない。
これは、もうすぐ高校生になるための節目。
新しいスタートへの準備だ。
「はいチーズ!」
私と先生はピースをした。
先生がどんな顔をしていたのかはわからないし、私もちゃんと笑えなかった。
でも、大切な写真。
大事な大事な、卒業写真。