ボーダーライン
2人きりのドライブ
先生は、「乗って!」と指で合図をしている。
大きく頷いて助手席の方へ回りこんだ。
両手で静かにドアを開けて
「ほんとに乗っていいの?」
と聞くと
「当たり前だろ!」
そう言って笑って返してくれた。
ドキドキしながら先生の車に乗り込んだ。
今の時刻は、9時半。
もうあまり時間はない。
お父さん以外の男の人のサイドシートに座るのは初めてだった。
スポーツカーだから、お父さんの車とは椅子の感触も全く違う。
先生がすぐ隣にいる。
すぐ近くに…
ドキドキする。
「ガソリンスタンド寄っていい?無くなりそうだから。」
「うん!」
先生はコンビニの近くのガソリンスタンドに入った。
従業員さんが寄ってきて、ガソリンを入れたり、サービスでフロントガラスを拭いたりしている。
私がここに座っていて、この人たちから見たら不自然じゃないのかな…とか考えていた。
明らかまだまだ子供な私と、どう見ても大人な先生。
まさかカップルに見えたりするのかな…なんちゃって。
「カードで。」
カードを差し出す先生の姿に、ドキドキしちゃう。
なんか…大人だね…。
今だけは、先生じゃなくて、ひとりの男性として…だよね?