ボーダーライン
「門限何時?」
「とりあえず11時ぐらい?かな?」
どうせお母さん寝てるだろうし。
「じゃああんまり時間ないから、近くの穴場行くぞ?」
「うん…!」
どうせ寝ているくらいなら、もっと遅くてもよかったのかもしれない。
もっともっと一緒にいたい。
先生は今、私のために車を運転して、
そんなことに感動しちゃう。
初めて見た、先生のハーパン。
カッコイイ…!
運転をする先生の横顔も、すごく大人で素敵だな…。
タバコや匂い消しのキツイ匂いも全くしない。
先生は、タバコは吸わないって言ってたっけ。
車酔いをする私が、安心して座っていられる。
本当に無臭で、居心地が良い。
少し開いた窓から入る風と、ちょうどよく調節された冷房の風は、私の緊張をほぐしてくれた。
何より、先生の運転はすごく安心出来るんだ…!
でも、サイドシートにもたれた背中だけが、ずっと熱かった。
神経が全部背中に集中しているようで、汗でびちゃびちゃかもって感じ。
ラジオから流れるFMの洋楽が、大人を感じさせた。
穴場に着くまで、外の景色の話をしたり、バイトでの出来事を話したり、先生は運転をしながらも、私の話をちゃんと聞いてくれた。