ボーダーライン
本当はテストどころじゃない。
腫れた目を見られるのが嫌で、今日はまなと紀ちゃん以外誰とも口を聞いていない。
テストは普通に考えて
出来た訳がない。
勉強もしてないし、昨日の傷が癒える訳なんてなかった。
いつも通り
テストの後には部活がある。
先生に言わなきゃ…。
ちゃんと言うべきだと思った。
練習で走り終えた後、2階の廊下を歩く窓越しの先生が、グラウンドから見えた。
私は近くに駆け寄って、
先生に手を振った。
私に気付いて先生が立ち止まって、窓を開ける。
「よお!」
それに応えるように私も
「よお!」
と言って
先生を見上げる。
「後で話したいことがあるんだけど、下降りて来てくれる…?」
「うん、分かった。それって良い話?」
「う〜ん…どうかな」
私は先生のその質問に笑ってごまかした。
思い出すと、
泣きそうになるから…。