ボーダーライン
ボーダー
ひとつだけ電気のついた教室の近くまで来た。
ここが先生が一年間担任をもったクラス…教室。
私も先生の授業…一度でいいから受けたかったなあ…。
紀ちゃんと郁が
教室の中を覗く。
「先生いるよ!生徒は誰もいないみたい…!」
紀ちゃんが小声で言った。
「分かった…行ってくるね。」
先生との最後の時間。
勇気を振り絞って、教室に足を踏み入れようとした。
でも、先生に近づくのが何となく怖くて…教室に入る一歩手前で止まった。
教室の扉のように、先生と私の間に壁があるような気がして…足が進まなかったんだ。
まだ答えが見つからない
ボーダーライン。
「先生………何してんの?」
初めて先生がこっちを向いた。
「教室の掃除してたんだ。クラッカーとかゴミがたくさん出ちゃってさ…」
生徒たちのサプライズに、照れ臭そうにも、先生はちょっぴり嬉しそう。
目が合うだけで
ドキッとする。
これが、恋。