ボーダーライン


「ありがとうな!」

と照れ臭そうに笑って。





「じゃあね先生〜さようなら〜」


紀ちゃんたちは何のためらいもなく、先生に手を振って下へ降りて行った。






もう…本当に
これで終わり……。





職員室に入ろうとする先生。


「先生…バイバイ…。」


小さく手を振って言った。




「うん、バイバイ。」


先生も同じように
手を振って言ってくれた。




私は、先生から一度も目を離すことが出来なかった。


先生も私も、
ずっと手を振り続けた。


ずっと
先生の目を見ていた。









先生が一歩ずつ
足を踏み出す。


私の隣から
離れて行く……。




先生は、もう会えないかもしれないのに、

いつもみたいに手を振りながら私の顔を見て頷き、職員室に入って行った。



たった数秒の出来事。



頷いた先生の顔は、私に

「頑張れよ」

と言っている気がした。





先生の背中を
じっと見つめる。



職員室に入っていく先生の後ろ姿が

本当に寂しかった。



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