ボーダーライン
「でも先生のことは、先生としてすごく好き…だから辞めちゃうなんて嫌だよ…。」
「じゃあさ、結城に聞いてみようよ!噂が本当なのかどうかさ!私もついてってあげるし。」
「ほんとに?ありがと…………………………あ、先生…!」
まなの方を見ると、たまたまこっちに向かって歩いてくる先生と目が合った。
反射的に立ち上がった。
「…先生…今時間ある?」
本当は聞くのが怖い。
「おう、ちょっとだけな!」
その笑顔の奥には何が隠れてる…?
「咲良…ちょっと保健室行ってくる!」
本当は用事なんてないくせに、まなが気を使って2人にしてくれた。
グラウンドには、相変わらず響き渡るサッカー部のかけ声とボールを蹴る音。
「先生…2学期で終わりって本当なの…?」
まだ暑くてドアを開けっ放しにしている体育館からは、キュッキュッとバスケ部の足音が聞こえる。
「もうそんなに話、広まってんのか…?」
驚いた表情だった。
「……!じゃあ先生…」
「うん…まだわかんねえけど、高い確率でそうなると思う。」
「高い確率って…?」
「99.9%…かな。」
噂じゃなかった…