ボーダーライン
何も言えなかった。
「嫌だよ。」
っていう一言さえも。
何より今、私の目の前で寂しそうな顔をする先生に、何て言っていいか分からない。
ただ…どこにも行かないでほしい。
外は晴れているのに、薄い雲に覆われていて青い空は見えない。
余計に寂しい。
「あと3ヶ月…。」
「うん…」
「ねえ…先生…可能性がない訳じゃないんだよね…?」
「うん…まだ決まった訳じゃない。」
「…じゃあ私…0.1%の可能性を信じるよ!!奇跡が起こるかもしれないじゃん…!」
先生を励ますために、
そして、自分に言い聞かせるように言った。
「おう、ありがとな。」
ニコッと笑って先生は職員室に戻って行った。
本当は、わずかな可能性にかけるほど私は強くない。
頭の中では
あと3ヶ月で先生がいなくなる
そればっかりだよ。
あと…3ヶ月。