ボーダーライン





外は薄暗い。



でも、はっきりと見える大好きだった人の顔。



忘れるわけない…



きっとこれからも、忘れない





ただ、その人を目の当たりにしても、何も心が動かない。



今までみたいに、ドキドキすることも、嬉しさも、何もない。



あまりにも突然でビックリした。


それだけだった…





落ち着いて、私。



もう、大丈夫。






私は、前へ踏み出した。




過去は振り返らない。






「どうしたんですか?」



「中学のときの同級生と
久々にバスケの練習見に来たんだ。」



「そうなんですか…。」



「最近全然メール来ないけど、何かあった?」



「…………いえ、ちょっと最近忙しくって…。」



きっと先輩は、私の覚悟も何も気づいてないんだろう。




「そっか…じゃあ友達待たせてるから、またな!いつでもメールしろよ!」




「さよなら…」



その人は
私に背を向けて歩いて行った。



「さよなら」


大きな背中にもう一度呟いた。




その背中を見送る
私の視線の向こうには



先生がいた。









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