ボーダーライン








「先生…次の角曲がる?」



「いや、まだ真っ直ぐ。」




だんだん家に近づく。

…ちょっと寂しい。



この帰り道が、ずっと永遠に続けばいいのにって。



叶わない願いに期待をかけても無駄なのに……心のどこかで信じたい思いが少しはある。







「あ〜あ、もう少しで終わりだなあ〜」


それ…中野が戻ってくる話だよね。



先生は一瞬寂しそうな顔をした。



真っ暗でも、どんな表情なのか少しは見えるし、話し方で分かる。



「うん…先生もやっと学校に馴れた感じなのにね……」


「ほんっとにそうだよな〜!」



さっきの声のトーンとは全く違うのが分かった。



明らか無理して言ってる。


先生も寂しいんだね。


この学校とのお別れが…。






お願いです


先生も私も、
気持ちはきっと同じなんです。


だから、お願いです。




先生がいなきゃ、困るんです…






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