ボーダーライン
先生は大きな目を上下に動かしながらざっと結果を見た。
苦手な理科は17点…。
正直これはかなりヘコんだ。
「おい…これ、クルなあ。」
私の点数を見て、くくくって先生が笑う。
「ひどいよ先生〜!理科苦手だもん!」
なんて言いながらも
私の顔は笑ってる。
いま、本当に幸せ。
時間…止まればいいのに…。
「でもやっぱ…理科クルなあ…」
「ひど〜い!」
先生のツボだったみたい。
先生がそうやって笑ってくれるのなら、悪い点数も平気で取れそうな気がした。
もちろんダメだけど…
先生に入試のアドバイスをしてもらったり、参考書をくれたりした。
「他の生徒には内緒な。」
と言って。
嬉しすぎて、体中が幸せだと感じた。
今日は
中野が戻ってくる
あの話はしなかった。
先生の隣でずっと
笑っていたかったから。
『今』を存分に体で感じたかった。
先生…私ね、先生が好きすぎてどうにかなっちゃいそうだよ。