ボーダーライン
一番最初に先生を探した。
先生は…まだ来ていない。
先生は遅刻指導の担当だから。
さっき、体育館に行く途中に門の前で立っているスーツ姿の先生が見えた。
確かにまだ先生はいる。
まだいる。
でも、もう一度この目で確認しないと落ち着かない。
いるはずなのに…
いないような気がして…。
もう来ない気がしたんだ…
長い校長の話もやっと終わりそうなとき、先生が体育館に入ってきた。
深くため息をついた。
ほんの一瞬だけ、安心した。
でも先生のスーツ姿も、もう見れなくなるんだね。
こうやって、先生を探すことも
見ることも…出来なくなるんだ…。
「これで2学期の終業式を終わります。1年生から教室へ戻ってください。」
「え?」
あれ?
もう終わり?
先生は、まだいる。
挨拶は?
よくわからないまま
終業式は終わてしまった。
「咲良〜!!先生結局どうなったの!?挨拶とかないの?」
まなが慌てて走ってきた。
「私にも…よくわかんない。」