ボーダーライン






一番最初に先生を探した。



先生は…まだ来ていない。



先生は遅刻指導の担当だから。


さっき、体育館に行く途中に門の前で立っているスーツ姿の先生が見えた。


確かにまだ先生はいる。


まだいる。



でも、もう一度この目で確認しないと落ち着かない。


いるはずなのに…
いないような気がして…。


もう来ない気がしたんだ…







長い校長の話もやっと終わりそうなとき、先生が体育館に入ってきた。




深くため息をついた。


ほんの一瞬だけ、安心した。





でも先生のスーツ姿も、もう見れなくなるんだね。




こうやって、先生を探すことも

見ることも…出来なくなるんだ…。






「これで2学期の終業式を終わります。1年生から教室へ戻ってください。」


「え?」




あれ?


もう終わり?



先生は、まだいる。




挨拶は?










よくわからないまま
終業式は終わてしまった。



「咲良〜!!先生結局どうなったの!?挨拶とかないの?」



まなが慌てて走ってきた。



「私にも…よくわかんない。」









< 68 / 308 >

この作品をシェア

pagetop