ボーダーライン
「咲良が呼んでるよ♪」
まなが職員室にいる先生と言葉を交わしている。
私には職員室にいる先生が見えないのが、よりいっそうドキドキさせる…。
すぐ近くにいるんだ…
職員室のドアからひょこっと顔を出す先生。
私がいることを確認して、ニコッと笑って出てきた。
「おう、どした?」
どした?って分かってるくせに。
恥ずかしがってる場合じゃない。
勢いが大事なんだ!
「これ……あげる!!」
小さな紙袋を差し出した。
「お…!ありがとな!あ、試験の結果教えろよ〜!」
その笑顔が大好き。
好き好き好き、大好き!!
「うん、じゃあね!!」
たったこれだけのことなのに、私にとっては物凄く大きなことなんだ。
先生だからお返しだってもらえないけど、それでも良い。
渡せただけで満足。
交わした言葉が少なくても、いまは平気だ。
この日は、先生の笑顔をずっと思い返していた。
その度にドキドキして、胸が苦しくなって…
夜、眠るまでずっとドキドキが止まらなかった。