男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
「……日本語?」
人だかりの中心から、声がした。
高くも低くもない、中性的な声。
そして、人垣を割って(この時はじめて気づいたが、人だかり構成員はすべて女子生徒だった)現れたのは、鳴海が見たこともないほど、美しい人だった。
「あ、転校生だっけ? 入れ違いになってたんだよね」
久しぶりに聞いた流暢な日本語。
それを操るのは、白い肌に漆黒の髪の、絶世の美人だった。
切れ長の目が、清楚な色気を醸している。