男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
そんなふうに考えを巡らせて、里吉は口を開いた。
「会長……も、だけど。わざわざ美形ばっか集めたんじゃないの、って感じの生徒会だったわ」
「えぇー、そうなんですか!? 顔良し頭良しおまけに金持ちか……不公平だぁー」
「ついでに歌唱力もね。柏木聖とInoがいるから」
「えぇ! うっそ」
「あとは……沖谷准乃介と佐野真琴は知ってる?」
「知ってます知ってます! うぅわーまじかーいいなー私Ino大好きなんですよぉ」
「そうなの? 本人に会ったらびっくりするかもね……」
「え? なんでですか? ……あ、柏木聖とすっごい仲良いってマジすか? 付き合ってんのかなぁー」
「これ以上は喋れないな、残念。個人情報だからね」
そこをなんとか!と粘る鳴海の額を指で弾いて、里吉は、久しぶりに笑っている自分に気付いた。
生まれつきの女顔に、隙間なく貼り付いていた愛想笑いが、日本に行っている間に剥がれ落ちたらしい。
楽しかったな、と、今さらながらに思った。