男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
「……なにしてんですか?」
「こっちのせりふなんだけど」
「え、あ、私、今日からお世話になります黒木と……」
「お世話って。ここ? この部屋で?」
「そう聞いてるんですけど、え、なんで里さんがいるんですか」
「ここ私の部屋」
その夜、顔を合わせた鳴海と里吉は、同じ部屋で同じような表情で、数秒固まった。
そして次の瞬間に里吉の唇から出たのが「Oh,my god…」ではなく「嘘でしょ」だったことに、鳴海はなんとなく安心感を覚えていた。