男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
「あぁぁ腹立つ、私だって好きでこんなかっこしてんじゃないんだっつーの!」
「じゃあちゃんと言えばよかったじゃないですかぁ、なんで女装してるのか」
「それは、!」
急に言葉に詰まった里吉に、鳴海が首を傾げる。
沸騰しそうだった血が頭からすうっと引いて、冷静さが戻った頭を、里吉はがしがしと掻いた。
「言えない事情があんの。あんたにだって言ってないでしょ」
「え、だって……秘密って、言うべき人と、言うべきじゃない人がいるじゃないですか?」
「……聞こうと思ったことないの……?」
「私、友達だからってなんでも話すとか、違うと思うんですよねー。友達だからこそ、言わなくていいこととかあるし」