男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
淡白すぎですかね、と、けろりとした顔で言う鳴海。
その姿に重なったのは、あの少女だった。
無表情で大雑把で、てもがさつには見えない妙な気品。
小気味良さと、同時に感じるどうしようもない苛立ち。
だって、自分と彼女は似た境遇のはずなのに、あんなに平然として。
自分だって、もっとすんなり受け入れたかった。
家の事情なんだからしょうがないのだと。
(……あーゆうとこ、羨ましかったのか……)