男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
きっかけなんてそんなもの
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いつのまにか、里吉と同居することに抵抗を感じなくなっている自分に、鳴海は気が付いた。
仮にも好きな男とである。
これは少し女としてやばいんじゃないのか、なんてもやもやと思っていたら、うっかり、ものすごい行動に出てしまっていた。
(……なにしてんだ、わたし)
そもそも、里吉が悪いのだ。と、誰にともなく言い訳。
あんなふうに、近付くから。
あんなふうに触れるから。
あんなふうに笑うから。
だから、こっちからだって、少しくらい。と、半ば仕返しのような気持ちだった。
しかし、――完全に。