男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
鳴海は、一瞬曇った顔を風が吹いたように元に戻して、里吉の隣に座った。
「あ、それでですね、クラスメイトにこんなものをいただきまして」
「クッキー?」
「そうです、手作りですよー。学校祭で売るクッキーを試作してるだとかで、大量にあるので消費してくれと、配りまくってました」
「へえ……美味しそう」
一口サイズの丸いクッキーを摘まんで眺めている里吉に、鳴海は明るい声を上げる。
「あ、甘いもの、食べるんですね」
「うん。それでさっきの質問?」
指に摘まんだクッキーを、口に入れる。
少し甘すぎる気もするが、試作品というには、十分な美味しさだ。