男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
「うん。急に気になりまして」
「ふぅん……そーね」
里吉は唐突に、鳴海の口にクッキーを押し込んだ。
だいたい常に開けっぱなしだから、物を押し込みやすい口だ。危機感に欠ける気もする。
「なんれすか?」
「うん?」
適当に流して、体ごと鳴海に向けた。
「辛いものよりは……甘いのの方が好き、かな?」
不思議そうに小首を傾げる鳴海に、わざとらしく接近する。
里吉としては、意図を察した鳴海が、狼狽えて焦るところを見たかったのだ。
だが、しかし。