男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】



イギリスにあるハイスクールに転校した鳴海は、最初のうちこそ言葉が通じないことに苦労していたが、それも身ぶり手振りでなんとかなるようになってきた。
人間、どんな環境でも順応できるものである(実際、どんなに臭い場所でも、5分もすれば人間の鼻は、完全に慣れることができるらしい。その事実より、実証してみせた人の心意気に拍手を送りたい)。


しかし、友人と呼べる存在は、まだできずにいた。

カレンもその他のクラスメイトも、生粋の日本人が珍しいのか、何かと気にかけてはくれる。
だが、コミュニケーションが取りづらいせいか、長く接してくれる人はいなかった。

だからこそ、同じクラスの日本人、という話を聞いた時、鳴海は手放しに喜んだのだ。

「ナルミが来る前の週から、日本に行ってるの」
「へぇー……楽しみだなぁ」
「すっごく綺麗な人よ、びっくりしないでね」

その時の鳴海は単純に、びっくりするほどかっこいい人なのかぁ、と考えていた。



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