霧の獣
俺はずっと閉じていた口を開き言った。
「俺はどうすれば良いんだ??」
俺の質問に炎雅は答える。
〈この先に、光の神子の力の根源である
紅の珠の祠があります。
そこで、その珠を手に取って言って下さい。
“主は今戻った”
と。〉
「主は今戻った??
何のためにそんな事を??」
俺は炎雅に聞く。
〈かつて我ら光の神子の力が散らされたとき、
それぞれ珠に3つの力を封印しました。
それの解放呪文か何かだと思って下さい。
珠の色によって能力は変わり、紅の珠は炎の力を宿します。
それが我・・・炎雅の力です。〉
淡々と説明する炎雅の声を聞きながら俺は歩いていた。
しばらく歩き続けて、やがて祠らしきものを見つけた。
「炎雅、あの祠が紅の珠のある祠?」
俺は炎雅に問う。
〈中に紅の珠があるはずです。〉
炎雅は答える。
中には、紅に輝く珠があった。
俺はそれに向かってそっと手を伸ばし、手に取った。
手にとって、
「主は今戻った」
と小さく言った。
言い終わった途端に、珠の輝きが強くなり
その溢れる光に俺の身体は包まれ見えなくなった。
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