霧の獣


『はい。彼女は確かに女の子・・・
ですが、普通の男よりは断然強いので
大きな心配はありません。
大丈夫です。』
と聖者は言う。



「そうか・・・。」
俺はなんだか不思議な複雑感を感じた。


そんな俺に聖者は構わずに言った。
『彼女の元々の力は雷。』



「それで?俺が彼女に会ったら
何をすれば良いんだ??」
俺は聖者を急かす様にそう言った。



『あなたが彼女を目覚めさせて下さい。』
聖者は答える。



「一体どうやって??」
俺は目を丸くして問う。



『それは私にも分かりません。
でも、きっとあなたなら出来るはずです。』
聖者のあまりにも無責任な発言に
俺は目を伏せた。


「分からないって・・・。」
あきれた様に俺は言う。



『もしも、何か急な事態が発生しても
彼女の力が目覚めなければ・・・。』
聖者は俺に耳打ちをした。



そして、聖者は続けていった。
『とりあえず、彼女の元までいかねば
話しになりません。
行ってみればきっと何か分かるはずです。』
と。



「じゃあ、とりあえず彼女の所まで行くんだな?」
俺は確認する様に聞き返した。



『そうです。
彼女は西の方角にある泉の側に住んでいます。
一度村に戻って休まれてから西にお向かい下さい。
それでは、私はこの辺で失礼させていただきます。』
それだけ言うと聖者は湖の中へと戻っていったのだった。









俺の旅は今始まったばかりだ。


















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