霧の獣


俺は夢を見た。


誰かが助けを求めていた。


苦しそうに唸りながら、
何度も何度も暗闇の中で
俺に助けを求めていた。


それが一体誰で何を伝えたいのかも
さっぱり解らない。


が、俺はその声が
助けを求めている声にしか
聞こえなかったのだ。


これは夢なのだろうか
少女が1人湖の様な大きな水たまりのある所に
ぽつりと立っていたのだ。


俺が少女に手を伸ばすと
少女は俺の手にしがみつく様に
その両腕を繋いできた。








俺はその先の事を良く覚えていない。
何故かそこで夢が消えてしまったのだから。


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