霧の獣
翌朝、俺は朝一番に
長蛇さんの家に向かった。
案内の人が俺を部屋に案内した。
中には長蛇さんと
未夜さんが座っていた。
長蛇さんは俺の姿を見つけてすぐに言った。
「準備は出来ておるか?」
と。
俺は長蛇さんが何を考えているのか
さっぱり解らなかった。
「準備って・・・長蛇さんまさか
僕が夢人を捜しに行っても良いんですね!?」
俺はようやっと長蛇さんの言っている事を理解し
その言葉の嬉しさに舞い上がった。
「気をつけて行け。」
長蛇さんが俺に最後に言った言葉は
送り出す言葉だった。
未夜さんは俺に後ろ姿を向けたままだった。
反対していたのできっと怒っているのだろうと、
俺は思った。
俺は旅支度を済まして、
村の外に出た。
俺は今。
生まれ育った地から離れた。