霧の獣
俺と夢人は急いで
門にむかった。
門の周りでは、
さらに重苦しい空気が漂っていた。
村のたくさんの人が
何かを囲って
両手で顔を覆っていた。
この光景を俺は見たことがあった。
確かあれは父さんの死んだ日・・・
そうだ、村の人が囲んでいたのは父さんだった。
俺の村は死人を門の前に埋葬する風習があって、
死人がこの村を守ってくれると信じている。
どんどん青くなっていく俺の顔。
その横で夢人が言う。
「降りよう。ここじゃあ全然見えない。」
夢人にそう言われ
俺は無言のままに屋根の上から飛びおりた。
門の側で村の人が囲っているものをみた。
俺達は凍り付いた。
そこに居たのは・・・