霧の獣



「親父っ!」
と言う耳をつんざく夢人の声が
辺りに響いた。


そう。
俺達がみたのは
既に息を引き取ってしまっている


夢人のお父さんだった。


俺は同伴していた狩人達に聞いた。


「仁蛙【にあ】さんに何があったんですか!?」


しかし、俺のその質問に対して
誰一人答えようとはしなかった。


長い沈黙の中で

夢人の鼻をすすりあげる音が
辺りにやたら大きく聞こえた。
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