カフェオレ
【35℃】
湯気を吐き出す事をやめてしまったカフェオレ。
私はまたティースプーンでくるくると混ぜた。
中心に出来る渦に、吸い込まれていくような錯覚を覚えながら。
不意に叔父さんがペイケースからチーズケーキを取り出して、私に差し出した。
「サービスだ。香苗には内緒だぞ。」
香苗とは、叔父さんの奥さん。つまり私の叔母さんだ。
ここで出すケーキは叔母さんが作っている。
このチーズケーキはとても美味しくて、私はたまに自分へのご褒美として食べている。
「いいの?」
「特別だぞ。」
いたずらっ子みたいに笑う叔父さんの言葉に、私は甘えることにした。