カフェオレ
「アイシテル、か…。」
叔父さんに聞こえないくらいの、吐息のように小さい声で呟いた。
『愛してる』なんて言葉、使い方を忘れてしまいそうだ。それくらい長い間、その言葉を使っていない。
私が最後に『愛してる』と言ったのはいつだっただろう?
確か結婚する少し前だった。遥斗が、大学時代の後輩の女の子の相談にのっていた時だ。
私は偶然、二人で歩いている姿を発見した。
そしてあろうことかその女は遥斗に寄り掛かり、抱き着く形になったのだ。
その夜私は狂ったように遥斗を罵った。
悔しくて悲しくて、私はボロボロに泣いた。
そんな私を優しく抱きしめた遥斗。
その時の温かい遥斗の胸に、私は「愛してる…」と呟いたのだった。