カフェオレ
ゆったりとした動作でコーヒーをすする五十嵐さんの横顔に、私はポツリと問う。
「五十嵐さん、奥さまは?」
五十嵐さんは、穏やかな表情を崩さないまま答える。コトリとカップを置く音がした。
「居ますよ。気の強いのが一人。」
そう言ってクスリと笑った。それだけで、今、五十嵐さんの心の中に奥さんの姿が浮かび上がったことが窺える。
「愛していらっしゃいますか?」
叔父さんと同様、五十嵐さんも目を丸くした。
穏やかな表情が一瞬崩れたことが、少し楽しかった。