カフェオレ
私はその声に泣きそうになるのをなんとか堪えた。
「私、彼を愛しているのか分かりません。彼も、私を愛しているのかどうか…。」
チラリと五十嵐さんを見ると、温かい表情で私を見ていた。
残っていたコーヒーをグイと飲み干し、
「マスター、おかわりくれる?」
とカップを持ち上げた。
叔父さんは差し出されたカップを受け取り、再び熱いコーヒーを注ぐ。
「僕はね、妻を愛しているからという理由で結婚したのではありません。」
「え?」
「僕らの間に確かに愛はありました。けれど、愛という言葉は、とても漠然としていますからね。」
私は、五十嵐さんの言わんとしている事を読み取れず、ぼんやりとカフェオレを見つめた。