カフェオレ
遥斗と私
一向にカフェオレに手を付けようとしない私に向かって、叔父さんは静かに話かける。
「遥斗(ハルト)くんは、元気か?」
私はフッと笑ってから小さく頷き、うん、と答える。
「今日も仕事。日曜だっていうのに、よくやるわよ。」
叔父さんは磨き上げたグラスを丁寧に並べていく。
新品みたいに綺麗になったグラスを、私は見つめた。
「私のことなんて、ほったらかしなのよ。」
愚痴になってしまうのは嫌なので、私は口を閉じた。
店内を眺める。
この、カウンターの端の席が私の特等席だ。
店内が見渡せる上、叔父さんが作業する手元を見ることだって出来る。
今日はまだ私以外の客は居ない。貸し切りだ。