joker ~欠片~
帽子屋の館
『キイ……助けて……』
お姉ちゃん!?
『助けて……』
お姉ちゃん、どこにいるの!?
『私はここよ……』
私の目に飛び込んできたもの。
それは、十字架に掛けられた血に塗れた姉の姿だった。
『キイ……タスケテェ……』
「いやぁああああ!!」
ドン
体に強い衝撃が走って目が覚めた。
ベッド……?
私、ベッドから落ちたの?
「いたたたた……」
今何時なんだろう、学校……
とふと顔をあげると鏡に写った自分の姿が目に飛び込んできた。
「……え?」
なぜか生まれたままの姿であった。
周りを見れば、姉の部屋ではないことに気づいた。
「ど、どこ、ここ」
「……んー……」
身体が凍りついた。
男の声がした。
おそるおそるベッドに目をやると、布団が盛り上がっていた。
「じょ…冗談でしょ……?」
床に落ちていた自分のパジャマを羽織り、布団の山に近づいた。
お願い……誰もいないで……
しかし布団に手を掛けた瞬間、
布団の中から手が伸びてきて、私の体は布団の中に引き込まれた。
「いや、離して!離して!!」
腕から逃れようともがく。
「ん……うるさい……」
耳元で男が呟いた。
絶望的だ。