joker ~欠片~
私が静かになったのが気になったのか、男が私の顔を覗きこんできた。
その時初めて男の顔を見た。
……誰かに、似ている。
男の顔は美しかった。漆黒の瞳で私を見つめている。
この顔を私はどこかで見たことがある。
「あなた……誰?」
「知りたい?」
男は綺麗な形の唇の端はきゅっと上げて微笑んだ。
「し、知りたい……」
「俺は帽子屋、クロード。」
「……帽子屋さんなの?」
「うーん、お前が思ってるようなのとはちょっと違うだろうけど。てか、お前、平気なの?ウブな顔して意外といけるんだ」
「は?」
クロードの笑顔の意味が最初は理解できなかった。
しかしクロードの手が私の胸を掴んだ時、理解した。
「ヘンタイ!!」
私の手の平がクロードの頬にヒットした。
「………いってぇー…」
懐かしいクロードの顔に安心して忘れてた。私は一糸纏わぬ姿をしているのだ。
そしてコイツも……。
「良かったよ、キイ。」
「ああああーっ!!最悪!!」