joker ~欠片~
次の『アリス』……。
それは俺にとっても他の誰にとっても残酷な指名。
あの赤の女王でさえ、蒼白い顔をして奴を睨んでいた。
「なんだ、お前ら。痛!!」
人形のはずの彼女が奴の腕に噛みついていた。
そして、殴られていた。
彼女は殴られながら、俺を見ていた。声にならない声を搾りながら言った。
「マモ、ッ………………テ」と。
俺は約束を守らなければいけない。
はずなのに……。
「どうして連れてきたんだ」
そう俺に尋ねてきた女、ユリアス。
彼女はこちらとあちらを繋げる暖炉を管理する者。
「みんな『アリス』が大好きだったんだよ。その『アリス』の頼みなら、みんな喜んで命を差し出すよ」
「彼女は嫌がる。」
「でも!!」
「キイなら変える、この国を。」