joker ~欠片~


「あなた何なの!?その耳…。お姉ちゃんはどこ!?」

叫ぶ代わりに言葉が出た。

男は怪訝そうな顔をして口を開いた。

「煩い女は嫌いだ。質問は1つずつお願いします」

一瞬崩れた丁寧言葉が気になったが、それどこではない。

「あなた、誰?」

「私は白兎のリード。キイ様を慧様の元へと導く案内人でございます」

し ろ う さ ぎ ?

「し、信じられない!私が知っている白兎は少なくとも……四つん這いよ!」

「それは私に四つん這いをしろと仰ってるのでしょうか?」

リードからただならぬ殺気を感じた。

怒っている。ものすごく。

「私はキイ様を慧様のもとへ導く案内人。ただ生きたままとは言われていない」

リードはぼそぼそと呟いている。まる聞こえだが独り言のつもりだろう。

「生きたままでなくていいってことは、死んでても構わない。」

「この煩い女、殺してしまおうか。」

「や、やめて…」







< 7 / 16 >

この作品をシェア

pagetop