joker ~欠片~
「あなた何なの!?その耳…。お姉ちゃんはどこ!?」
叫ぶ代わりに言葉が出た。
男は怪訝そうな顔をして口を開いた。
「煩い女は嫌いだ。質問は1つずつお願いします」
一瞬崩れた丁寧言葉が気になったが、それどこではない。
「あなた、誰?」
「私は白兎のリード。キイ様を慧様の元へと導く案内人でございます」
し ろ う さ ぎ ?
「し、信じられない!私が知っている白兎は少なくとも……四つん這いよ!」
「それは私に四つん這いをしろと仰ってるのでしょうか?」
リードからただならぬ殺気を感じた。
怒っている。ものすごく。
「私はキイ様を慧様のもとへ導く案内人。ただ生きたままとは言われていない」
リードはぼそぼそと呟いている。まる聞こえだが独り言のつもりだろう。
「生きたままでなくていいってことは、死んでても構わない。」
「この煩い女、殺してしまおうか。」
「や、やめて…」