joker ~欠片~
リードが驚いたように私を見た。
「……私の心が読めるんですか?」
次は私が驚いた。
あれは独り言ではなく、心で思っていたことなんだ。
あんだけはっきり呟いていたのに。
もしかして、この怪しい男が姉を……
「姉はどこにいるの?」
「急に頼もしくなられましたね。慧様はこの中にいらっしゃいます。」
リードはまだ確かめていなかった最後の窪みを指差した。
「お姉ちゃん!!」
私はリードを押しのけ穴を覗き込んだ。
ヒュ――……
「え……」
穴の中に姉の姿はなかった。
それにこの穴、何かおかしい。
底というものが見えない。
そして穴の中から風が吹いている。
どこかに……繋がっている?
リードに尋ねようとしたその時だ。
ドン
と背中を押され、バランスを崩した。