ベニとでも名付けよう


昼飯に私はオムライスとセブンアップを頼み、母はパスタとコーヒーを頼んだ。


料理が来るまでに母は長野のガイドブックを広げ、はしゃぎながら私に話続けた。


「宿には温泉もあるんだって、入ってみようよ。ね?」


母は童心に返ったようだった。そんな母を見るのは初めてだった。


「楽しそうだね。そんなおかあさん見るの初めて。」


「えーそう?ここに来たら仕事のこととか全部どっかにいっちゃった。」


くしゃっとした笑顔は母の武器だ。



昼飯を食べ終わると足早にレストランを出て、また宿に向かうことにした。
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