ベニとでも名付けよう
中は外の景色とは反対で近未来的なデザインで冷たい印象だ。
天井は異常に高く、とにかく広い。
湯船は檜でできていてとてもいい匂いがする。
お湯に浸かる母の背中を見て、私はあのバスでの母の独り言を思い出していた。
『お父さんも連れて来たかったな。』
私はあの言葉がずっと気になっていた。
私は父のことを聞いてみようと思った。
父の死のことを知りたいというのもあったが、それよりもっと母と近づきたかった。
今なら母との壁など取り除けると思ったんだ。