ベニとでも名付けよう

なぜ記憶がないのか、父はどうして死んだのか。




私は周りに聞いてみたが、いつもはぐらかされて、母にいたっては父がさも存在しなかったかのように知らんぷり。



「あなたは私が産んで、私が育てたの。それだけ。」



めちゃくちゃだけど、説得力に満ちていて、強くて、そんな母が大好きだった。



そんな母と私は2人で暮らしている。



父がいない寂しさなんて微塵も感じなかった。


< 5 / 29 >

この作品をシェア

pagetop