五人の王子に仕えしは
「……やあ、小鳥遊さん」
「ひっ……!」
なんでこいつが、私の席に座ってんの!?
あんたの席じゃないでしょ、そこ!!
クラスがざわめく、というか最初からざわめいていたがそれが私の登場により一層強くなった。
女子からの羨望と嫉妬の痛ーい視線。
ちょ、ま、待ってよ。
「ちょっと……お話、しない?」
そう言った神崎君の目は、今まで見て来た中の何よりも一番怖かった。
ファンから見れば普通にうつくしー顔なんだろうけど!
私は必死で頭をフル回転させ言い訳……すなわち逃げ道を探る。
「えっ、あー、そ、そんな、神崎君の貴重な朝の時間をさ、私で無駄には出来ないし! あの私、っていうか私、あの、実は用事あるし……。 神崎君はわ、私と話すより、えーと……あ、有意義な時間過ごして! ね! あでぃおす!」
咄嗟に口から出たデマカセはしどろもどろで、それはあまりにも不自然だった。
そして私はまたしても走って逃走した。