五人の王子に仕えしは




「……1限、お前が戻ってこないだけで心配したから、俺」

「えっ?」


 私が驚いて声をあげた瞬間。


 神崎君はベッドの側に座ったまま、私の顔の両脇にドンっと手を置いた。


「か、神崎クン?」

 真っ直ぐに視線を送ってくるその瞳が、揺れている。

「……すっごい、イラつくくらいに」
「え、イラついたって……ぅ、んんっ!」


 それに驚く暇もなく、私は神崎クンの唇で、唇を塞がれた。

 衝撃。その言葉が相応しい。
 驚きで身体が跳ね上がりそうだった。

「…ふっ、んぅ……ぁっ」


 唇が離れる。
 薄く目を開けると、少し切なげな神崎クンの顔が、いっぱいに広がっていた。

 端正な顔。綺麗な肌。
 ……文句の付けようがない。

「……奏って呼べよ」

「ど、どうして……こんなっ」

「いいから、呼べよ」


 その声は絞り出したような声。





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