五人の王子に仕えしは




「ねぇ」


 私が重ねて問うと、奏君は暫くの沈黙の末、口を開いた


「……分から無いんだ」


「分から、無い?」



 そんな言葉が飛び出して繰るとは思わなかったので、声が少しばかりつまってしまった。


 私は、重い身体を精一杯起こして、ベッドに座る形になった。


「……ああ、分から無いんだ。お前の事は勿論嫌い……の、筈なんだ」


 嫌いの、筈?

 そんな言い方じゃあ、好きかもしれないって、言ってるみたいじゃん。

 そんなのおかしいよ。まさか、奏君が。


 ……でも、だからこそ、本人も戸惑っているんだろう。






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