五人の王子に仕えしは



「1限、お前が居なくて、すっげえイライラしてた。猫被るの、忘れるくらいに」

「…………」

「……それも、嫌いだからこんなイライラしてるんだと思って、更にイラついた。……お前に」




 そうじゃないの?
 だって私にイラつくって言ったら、嫌いだからしか、無いじゃん。

 ……複雑だな。



「……なのに、時間が経つにつれて、すっげえ不安になって来てさ。なんか、よく分かんねぇの、もう頭ん中ぐっちゃぐちゃでさ、イライラして、」


「…………」


「……お前に飽きたら、身体ごと汚して捨ててやろうと思ってたのに、変だよな」

「……そんな事思ってたの?」

「……ごめん、ほんと。あんな事して、嫌だったって、分かってやったし」


 そう言って奏君は、自嘲気味に笑う。


 奏君らしくない物言いに、なんだか切なくなった。




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