五人の王子に仕えしは



 だから、私は口走っていた。



「……い、嫌じゃなかったよ!!」


 自分でも何を言っているんだろうと思った。


「か、奏君とキスしたの、嫌じゃなかった!! 全然嫌じゃなかったよ!」



 嘘。ほんとは、何だか崩れそうになった。

 ファーストキスだもん。
 ……無理矢理だったし。

 抵抗する気力すら無かった。



「……はは、無理すんなよ」

「……っ! 無理なんかしてない……」



 奏君は、こちらを振り向いた。



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