五人の王子に仕えしは
その顔は、穏やかな表情だった。
……あ、初めてみた、その顔。
ほんと、格好良いなあ。ずるいよ。
奏君は、ベッドの横まで歩いてきてくれた。
そして、私と目線を合わせるようにしゃがむ。
「お前、優しいな」
「へっ……?」
奏君の自然な表情に、ドキドキする。
今、褒められた。奏君に、私。
や、やだ、なんか恥ずかしくなってきた。
赤い顔を見られ無いように顔を背ける。
「なんか、また赤くなってきたな。2限終わるまで、寝てろ」
奏君はそういって、上体を起こしたままの私の肩を持ち、またそっと倒した。
「ありがと、奏君」
「……こっちこそ、ありがとな」
綺麗に奏君は笑って、私の頭をぽんぽんと撫でた。